「太陽光発電でつくった電気は、どうやって家で使うの?」
「蓄電池をつけると、何が変わるの?」
太陽光発電や蓄電池について調べ始めると、パワーコンディショナ、単機能型、全負荷型など、聞き慣れない言葉が次々と出てきます。
しかし、最初から難しい仕組みや専門用語をすべて覚える必要はありません。
まずは、太陽光でつくった電気が、
昼につくる → 家で使う → 余ったら貯める・売る → 貯めた電気を夜に使う
という基本的な流れを理解すれば、全体像がかなり見えやすくなります。
下の図を見ると、1日の電気の流れをイメージできます。

この記事では、太陽光発電と蓄電池の仕組みを、できるだけ専門用語を使わずに5つの要素に分けて解説します。
「どの製品が一番いいのか」を決める前に、まずは太陽光と蓄電池がどのように働いているのかから見ていきましょう。
要素1|まずはここだけ。太陽光と蓄電池の基本的な仕組み
太陽光発電と蓄電池の仕組みを理解するときは、まず電気がどのように流れているのかを考えると分かりやすくなります。
昼につくった電気を、まず家で使う
太陽光パネルは、太陽の光を受けて電気をつくります。
昼間に発電しているときは、つくった電気を家庭内で使うことができます。
たとえば、冷蔵庫やエアコン、テレビ、照明など、家庭では昼間もさまざまな電気を使っています。
太陽光でつくった電気を家庭で使えば、その分、電力会社から買う電気を減らすことにつながります。
このように、太陽光でつくった電気を自分の家で使うことを「自家消費」といいます。
難しい言葉に見えますが、
自分の家でつくった電気を、自分の家で使う
と考えれば大丈夫です。
余った電気は「貯める」または「売る」
太陽光でつくる電気の量が、家庭でそのとき使っている電気の量より多くなることがあります。
この使い切れなかった電気が余剰電力です。
余った電気には、大きく分けて、
- 蓄電池に貯める
- 電力会社へ売る
という使い道があります。
蓄電池があれば、昼間に使い切れなかった電気を貯めておき、必要な時間に使うことができます。
一方、条件に応じて余った電気を電力会社へ売ることもできます。
どちらを選ぶのがよいかは、売電や買電の条件、家庭で電気を使う時間帯などによって変わります。この点については、後ほど「わが家の場合」を考えるところで触れます。
夜は蓄電池に貯めた電気を使う
太陽が沈むと、太陽光発電では基本的に発電できません。
そのため夜は、電力会社から電気を買って使用することになります。
蓄電池に昼間の電気を貯めておけば、その電気を夜に使うこともできます。
つまり、
昼間につくった電気を、必要な時間にも活用できる
というのが、太陽光と蓄電池の基本的な仕組みです。
まずは、この電気の流れをイメージできれば十分です。
要素2|太陽光と蓄電池をつなぐ機器の役割
ここまで見てきた電気の流れは、主に「太陽光パネル」「パワーコンディショナ」「蓄電池」という3つの機器によって支えられています。
名前だけを見ると難しく感じるかもしれませんが、まずは、
- 太陽光パネル=電気をつくる
- パワーコンディショナ=家庭で使える電気に変える
- 蓄電池=電気を貯めて、必要なときに使う
という3つの役割が分かれば大丈夫です。

それぞれの役割をもう少し詳しく見てみましょう。
太陽光パネル|電気をつくる
屋根などに設置された太陽光パネルは、太陽の光を受けて電気をつくります。
「暑い日にたくさん発電する」というイメージを持つかもしれませんが、太陽光発電に利用するのは熱ではなく太陽の光です。
実際の発電量は、天候や時間帯、パネルの向き、周囲の影など、さまざまな条件によって変わります。
ここでは、
太陽光パネルは、家庭で使う電気をつくるスタート地点
と覚えておきましょう。
ただし、太陽光パネルでつくった電気を、そのまま家庭の家電で使えるわけではありません。
そこで必要になるのが、次のパワーコンディショナです。
パワーコンディショナ|家庭で使える電気に変える
太陽光パネルでつくられた電気は、そのままでは一般的な家庭の家電に使えません。
そこで登場するのが、パワーコンディショナ(パワコン)です。
専門的には「直流を交流に変換する」と説明されますが、最初は、
太陽光でつくった電気を、家庭で使えるように整える機器
と考えれば十分です。
屋根の上にある太陽光パネルほど目立ちませんが、太陽光発電の電気を家庭で使うために重要な役割を持っています。
蓄電池|電気を貯めて、必要なときに使う
蓄電池は、その名のとおり電気を貯めておくための機器です。
太陽光発電と組み合わせることで、昼間につくってその場では使い切れなかった電気を貯め、夜など必要な時間に使うことができます。
ここで覚えておきたいのは、
- 太陽光パネルが電気を「つくる」
- 蓄電池が電気を「貯める」
という役割の違いです。
蓄電池そのものが太陽の光から電気をつくっているわけではありません。
また、蓄電池には「どのくらい電気を貯められるか」という容量など、製品によって違いがあります。
ただし、容量が大きければすべての家庭に適しているとは限りません。家庭で使う電気の量や太陽光の発電量、停電時にどのように使いたいかなどによって、必要な設備は変わります。
ここまでの3つの機器を組み合わせると、昼間に太陽光でつくった電気を家で使い、余った電気を蓄電池に貯めて、夜など発電できない時間にも使えるようになります。
また、停電したときも、蓄電池に電気が残っていれば非常用の電源として活用できます。
つまり、昼につくった電気を、必要な時間に使いやすくなるというのが基本的な考え方です。
ここまで分かれば、太陽光と蓄電池の基本的な仕組みはかなり見えてきました。
ところが実際に蓄電池について調べてみると、「単機能型」「ハイブリッド型」「特定負荷型」「全負荷型」といった聞き慣れない言葉が出てきます。
次は、仕組みを理解するうえで特につまずきやすい、この2つの違いを見ていきましょう。
要素3|蓄電池にはどんな違いがある?
蓄電池にはさまざまな製品や仕様がありますが、ここですべてを覚える必要はありません。
まず知っておきたいのは、
- 単機能型/ハイブリッド型 → パワコンの組み合わせ方の違い
- 特定負荷型/全負荷型 → 停電時に電気を使える範囲の違い
という2つです。
単機能型とハイブリッド型の違い
単機能型とハイブリッド型の大きな違いは、太陽光発電と蓄電池で使うパワコンの構成です。
単機能型は、太陽光発電と蓄電池、それぞれに対応するパワコンを使う構成です。
一方、ハイブリッド型は、太陽光発電と蓄電池を1台のパワコンでまとめて制御する構成です。
言葉だけでは分かりにくいため、まずは図で違いを見てみましょう。

すでに太陽光発電を導入している家庭で蓄電池を追加する場合には、単機能型が選択肢になることがあります。
一方で、既存のパワコンの状態や設置からの年数、導入する蓄電池との組み合わせなどによっては、ハイブリッド型を含めて検討する場合もあります。
そのため、
「ハイブリッド型だから良い」「単機能型だから劣る」というものではありません。
現在使っている設備や、これから導入する機器、設置条件などを確認したうえで、家庭に合った構成を考えることが大切です。
特定負荷型と全負荷型の違い
もう一つ知っておきたいのが、「特定負荷型」と「全負荷型」です。
こちらの違いを簡単にいうと、
停電したときに、家のどの範囲で電気を使えるようにするか
です。

特定負荷型は、停電時にあらかじめ決めた範囲へ電気を送るタイプです。
たとえば冷蔵庫や一部の照明、指定したコンセントなど、停電時に優先して使いたい場所を決めておくイメージです。
一方、全負荷型は、停電時に住宅のより広い範囲へ電気を送れるタイプです。
ただし、全負荷型だからといって、停電前とまったく同じように電気を使えるとは限りません。
実際に使える機器や時間は、蓄電池の容量や出力、停電時の残量、住宅の設備構成、使用する家電などによって変わります。
そのため、停電への備えとして考える場合は、
「停電したときに、何を、どのくらい使いたいのか」
まで考えておくことが重要です。
どちらが正解ではなく、家庭に合うかが大切
ここまで4つの言葉が出てきましたが、覚えておきたいポイントはシンプルです。
- 単機能型/ハイブリッド型 → パワコンの構成が違う
- 特定負荷型/全負荷型 → 停電時に使える範囲が違う
そして、どちらにも一律の「正解」があるわけではありません。
すでに太陽光発電を設置している家庭と、これから太陽光発電と蓄電池を一緒に導入する家庭では、設備の条件が違います。
停電への備えについても、「冷蔵庫や最低限の照明が使えればよい」という家庭と、「停電しても家の広い範囲で電気を使いたい」という家庭では、求めるものが違います。
つまり、蓄電池を選ぶときに大切なのは、種類やスペックだけを比較することではありません。
「わが家では、何のために蓄電池を使いたいのか」
という視点で考えることが大切です。
では実際に「わが家の場合」を考えるとき、どのような条件を確認すればよいのでしょうか。
要素4|仕組みが分かったら「わが家の場合」を考える
ここまで仕組みが分かってくると、次に気になるのは、
「では、わが家に設置したらどうなるの?」
ということではないでしょうか。
ここで大切なのは、同じ太陽光発電や蓄電池を設置しても、すべての家庭で同じ結果になるわけではないということです。
まずは、どのような条件によって違いが生まれるのかを図で見てみましょう。

図のように、屋根の条件や普段の電気の使い方、地域や気候、設備の仕様などによって、発電量や電気の使われ方は変わります。
そのため、「一般的な家庭ではどうなのか」だけでなく、自宅の条件に置き換えて考えることが大切です。
電気代はどのくらい変わる?
太陽光発電を検討するとき、多くの方が気になるのが電気代です。
太陽光でつくった電気を家庭で使えば、その分、電力会社から買う電気を減らすことにつながります。
さらに蓄電池に電気を貯めておけば、昼間に余った電気を夜などに使うこともできます。
ただし、
「太陽光と蓄電池を設置すれば、電気代が○円下がる」と一律にはいえません。
発電量や家庭で電気を使う時間帯、設備の容量、電気料金の契約などによって結果が変わるからです。
平均的な削減額だけを見るのではなく、自宅の発電量や電気の使い方をもとに考えることが重要です。
「売る」と「貯めて使う」、どちらがいい?
昼間につくって使い切れなかった電気には、電力会社へ売る方法と、蓄電池に貯めて後から使う方法があります。
では、どちらがよいのでしょうか。
これも、すべての家庭に当てはまる一つの答えがあるわけではありません。
余った電気を売るときの価格、電力会社から電気を買うときの価格、家庭で電気を使う時間帯などによって考え方が変わります。
そのため、
「売る方が得」「貯める方が得」と最初から決めるのではなく、自宅の条件で比べる
ことが大切です。
売電制度や料金などの詳しい内容は、この記事では扱いません。
停電したとき、どこまで電気を使いたい?
停電への備えを目的に蓄電池を検討する場合は、
「停電したら、わが家では何を使いたいのか?」
も考えておきたいポイントです。
「冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電など、最低限の電気を確保したい」という家庭もあれば、「できるだけ家の広い範囲で電気を使いたい」という家庭もあります。
実際に使える機器や時間は、蓄電池の容量や出力、停電時の残量、使用する家電などによって変わります。
「停電対策になる」という言葉だけで判断するのではなく、自分たちの生活で何を優先したいのかまで考えることが大切です。
家庭によって「ちょうどいい組み合わせ」は違う
ここまで見てきたように、太陽光発電や蓄電池は、家庭の条件や導入する目的によって適した設備や使い方が変わります。
そのため、
「一般的にどれが一番いいか」ではなく、「わが家には何が合うか」
という視点で考えることが大切です。
インターネットで見つけた発電量や電気代削減の事例も参考にはなりますが、他の家庭で出た結果が、そのまま自宅にも当てはまるとは限りません。
仕組みを理解したら、次は自宅の条件に置き換えて確認する。
ここまでできて、初めて「わが家の場合」が見えてきます。
要素5|仕組みが分かったら、次は実際のデータを見てみる
最後に、この記事で見てきた内容を整理しましょう。
細かな専門用語をすべて覚える必要はありません。まず押さえておきたいのは、次の3つです。
- 太陽光でつくった電気は、家で使い、余った分を貯めたり売ったりできる
- 太陽光パネル・パワコン・蓄電池には、それぞれ「つくる・使えるようにする・貯める」という役割がある
- 設備の選び方や実際の結果は、家庭の条件によって変わる
ここまで仕組みが分かったら、次は、
「わが家の場合はどうなるのか?」
を確認する段階です。
まずは、実際のデータを見てみる
アルセットサービスでは、実際に使用されている太陽光発電・蓄電池のデータを公開しています。
まずは、発電・買電・売電が実際にどのように動いているのかをご覧ください。
そのうえで、
「では、わが家の場合はどうなる?」
と気になったら、ご自宅の条件に置き換えて考えてみましょう。
仕組みが分かったら、次は実際の家庭で太陽光発電がどのように使われているのかを見てみましょう。
発電した電気、電力会社から買った電気、売った電気を、実際のデータで確認できます。
実際のご家庭の1か月分のデータをご紹介しています。